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正解は ウ

解説

PQC(Post-Quantum Cryptography:耐量子計算機暗号)は、量子コンピュータを用いた攻撃に対しても安全性を維持できる暗号方式の総称。現在広く使われているRSA暗号や楕円曲線暗号(ECC)は、量子コンピュータ上で動作するショアのアルゴリズムによって効率的に解読される可能性があることが数学的に証明されている。PQCはこれに対抗するため、量子コンピュータでも効率的に解けない数学的困難問題(格子問題・符号理論・多変数多項式・ハッシュ関数等)に基づく新しい暗号方式を指す。NISTは2016年から標準化プロジェクトを進め、2024年にML-KEM(格子ベース鍵カプセル化)、ML-DSA(格子ベースデジタル署名)、SLH-DSA(ハッシュベース署名)を標準として確定した。PQCはQKD(量子鍵配送)とは異なり、古典的なコンピュータ上で動作する点が重要。

なぜ他の選択肢は違うのか

選択肢 ア
量子アニーリングマシンは組み合わせ最適化問題に特化した量子コンピュータの一種(D-Wave社等)。PQCとは全く無関係であり、量子アニーリングによって「暗号の実装性能を向上させる」という説明はPQCの定義に含まれない。量子アニーリングは回路サイズや消費電力最適化に使われることはなく、設問の説明は複数の誤りを含む。
選択肢 イ
「量子コンピュータで効率的に素因数分解してRSA暗号を解読する」のはショアのアルゴリズム(Shor's Algorithm)の説明であり、PQCそのものの説明ではない。PQCはショアのアルゴリズムによる攻撃への対抗技術であり、攻撃手法と防御手法を混同した誤り。PQCはショアのアルゴリズムでも解けない数学的問題に基づく。
選択肢 エ
量子通信路を使った鍵配送システムでデータを高速送受信するのはQKD(量子鍵配送:Quantum Key Distribution)の説明に近い。ただしQKDは大容量データの高速送受信ではなく、少量の鍵情報を安全に共有するための技術。PQCは古典コンピュータで動作するのに対し、QKDは量子通信路を必要とする根本的に異なる技術。

解くときのポイント

PQC(Post-Quantum Crypto)とQKD(Quantum Key Distribution)の違い: PQCは古典コンピュータで動作する量子耐性暗号、QKDは量子通信路を使った鍵交換。NISTは2024年にML-KEM、ML-DSA、SLH-DSAをPQC標準として確定。