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正解は ア

解説

公開鍵暗号方式の一つである楕円曲線暗号(ECC: Elliptic Curve Cryptography)の特徴を問う問題です。楕円曲線暗号は、楕円曲線上の離散対数問題の数学的困難性を安全性の根拠とする公開鍵暗号で、最大の特徴は、RSA暗号と比べて短い鍵長で同レベルの安全性を実現できることです。例えば、RSAの2048ビット鍵と同等の安全性を、楕円曲線暗号では224〜256ビット程度の鍵で達成できるとされています。アが正解です。鍵が短いことで、計算量・消費電力・通信量・記憶領域を節約できるため、ICカードやスマートフォン、IoT機器のような計算資源の限られた環境に適しています。TLS証明書や暗号資産(ビットコインの署名など)でも広く採用されています。RSAが素因数分解の困難性を根拠とするのに対し、楕円曲線暗号は楕円曲線上の離散対数問題を根拠とする、という安全性の根拠の違いも、午前試験で問われる重要ポイントです。

なぜ他の選択肢は違うのか

選択肢 イ
楕円曲線暗号は公開鍵暗号方式であり、共通鍵暗号方式ではありません。暗号化・復号を高速に行えるのはAESなどの共通鍵暗号の特徴です。公開鍵暗号はいずれも共通鍵暗号より処理が重いため、実際のシステムでは鍵交換や署名に公開鍵暗号を、データ本体の暗号化に共通鍵暗号を使うハイブリッド構成が一般的です。方式の分類を取り違えた選択肢です。
選択肢 ウ
総当たりによる解読が不可能なことが数学的に証明されている実用暗号は存在しません。楕円曲線暗号の安全性も「現実的な時間内に解くのが困難」という計算量的安全性に基づくものであり、無条件の安全性が証明されているわけではありません。なお理論上、総当たりでも解読不能とされるのはワンタイムパッドのような特殊な方式だけです。
選択肢 エ
データを秘匿する目的で用いる場合に復号鍵を秘密にしておく必要がないという記述は誤りです。公開鍵暗号で秘匿を行う場合、暗号化鍵(公開鍵)は公開しますが、復号鍵(秘密鍵)は受信者が厳重に秘密に保たなければなりません。秘密鍵が漏れれば誰でも復号できてしまいます。公開してよいのは「暗号化鍵」の方だという基本を確認しましょう。

解くときのポイント

楕円曲線暗号=公開鍵暗号で「RSAより短い鍵長で同等の安全性」が最大の特徴。IoTやICカードなど資源制約環境に適する。根拠は楕円曲線上の離散対数問題(RSAは素因数分解)。