解説
正規分布のグラフの読み取り問題です。正規分布は平均値を中心とした左右対称の釣鐘型(ベル型)の分布で、平均 μ がグラフの頂点(最頻値・中央値とも一致)の位置を、標準偏差 σ が山の広がり具合を決めます。グラフ上では、頂点から曲線の凹凸が変わる変曲点までの横軸距離が標準偏差 σ に対応します。本問は「平均が60、標準偏差が10」なので、頂点が横軸60の位置にあり、60から10離れた70(および50)付近に変曲点をもつ、左右対称でなだらかな単峰カーブが正解です。アのグラフは頂点が60にあり、そこから幅10をとった70の位置までが「10」と図示されていて、この条件と一致します。正規分布のグラフ問題では、①頂点の位置=平均、②広がりの幅=標準偏差、③左右対称・単峰、という3点をチェックすれば確実に判別できます。標準偏差が大きいほど山は低く広がり、小さいほど高く尖った形になることも併せて覚えておくと、広がりの比較問題にも対応できます。
なぜ他の選択肢は違うのか
- 選択肢 イ
- イのグラフは頂点が60にある点は正しいのですが、広がりの目盛りが55〜65(頂点から±5)に付いており、これは標準偏差が約5の分布に相当します。標準偏差10の分布であれば50〜70の範囲に相当する広がりが必要で、イは山が細く尖りすぎています。グラフ中の「10」という注記が55から65までの幅全体(2σ分)を指している点を見落とすと選んでしまうため、目盛りの数値を丁寧に読むことが大切です。
- 選択肢 ウ
- ウのグラフは10と60の2か所に山がある二峰性(バイモーダル)の分布です。正規分布は定義上、必ず山が1つ(単峰)で左右対称な釣鐘型になるため、山が2つある時点で正規分布ではあり得ません。二峰性の分布は、例えば2つの異なる集団のデータが混在している場合などに現れる形です。「単峰かどうか」は正規分布のグラフ問題で最初に確認すべきチェックポイントです。
- 選択肢 エ
- エのグラフは頂点が60にあるものの、左側がなだらかで右側が急峻という左右非対称(歪んだ)形をしています。正規分布は平均を軸として完全に左右対称であることが定義上の特徴なので、非対称な分布は正規分布ではありません。50〜60の幅に「10」という注記があり標準偏差10を連想させますが、対称性が欠けている時点で除外できます。形の対称性は数値より先に目視で確認できる判別ポイントです。